なぜ冬や夜は遠くの音が聞こえるのか?

みなさんは昼間や夏に比べて、
夜や冬のほうが普段は聞こえない音(遠くの音)が
聞こえたことがある人は意外と多いと思います。


たまに遠くの電車の音が聞こえてきたりすること
があると思います。しかも、昼間ではなく冬の時や夜に
聞こえることが多いと思います



これはただの偶然や空耳などではなく歴とした理由が
あるのです。


夜は昼間より静かだから聞こえてくるのだろうと思う人も
いると思います、たしかに昼間より夜のほうが雑音が少なく
音を妨害するものがないので聞こえやすいのたしかですが、
もっと大きな理由があるのです。




実は温度(熱)が大きく関係しているのです
音と温度は全く関係がないように見えますが、
音と温度には密接な関係があるのです。


音は温度差によって速度が変化し屈折したりするのです
空気中での音の伝播する(伝わる)速さは、温度によって変化します。





ちなみに音速を式で表すと(式・1)の通りなります。

※: C = 331.5 + 0.6t
(式・1) (C : 音速 ・ t : 温度 )
※1気圧中の音速の計算方法




(表.1)



媒質       音速(m/s)


空気(0℃)       331.5   (1℃上昇するごとに0.6m/sずつ増加していきます。)
水蒸気(100℃)    405
海水(塩分3%)    1513
鉄            5950
ヘリウム(0℃)     970




晴天の日中は地表付近の気温が上空の気温より高く(暖かく)なります。
つまり昼間は日射により地表が暖められ、地表近くの音速が大きくなります


日中の音は地表付近だと温度が高いので音速も大きく(速く)なり、
地表を離れるに従って温度が低くなるので音速も低く(遅く)なります。
すると温度が低い上空に曲げられてしまいます。
図.1のよう上空に曲げられてしまい地上には届きにくいのです。


図.1







反対に夜は放射冷却(物体が周囲に電磁波を放射することで温度が下がる)により
地表近くの温度が下がり
、音は図.2のように下方に曲げられてしまいます。


図.2






放射冷却には起こりやすい条件と起こりにくい条件があるのです。
普通は日中に暖められた地面から宇宙空間に向かって電磁波(赤外線)が
放射され上がってしまい温度が下がってしまいます。


しかし

晴天ではない時つまり曇りの時は雲が赤外線を吸収してしまいます、
吸収することで温度が上昇した雲は電磁波(赤外線)を放射しますが空だけではなく
地面に向けても放射するので地表の温度を上げてしまうからです。


よって、
放射冷却が起こりやすいのは晴天の夜に起こりやすいのです


まとめると、
晴天の冬の夜が音が届きやすいということになります
(ちなみに、風がない方がより届きやすいです。)


気温が15℃の時(式・1)を使って計算すると
331.5 + 0.61 × 15 =340.65
約340m/秒になります。


もし、
雷のとき稲光がしてから何秒後に音がするかで、
今、雷が自分の位置から大体どの付近にあるか確認できます

もし1秒後に音が聞こえたら約340m先に雷雲があるわけです。




表.1でもあるように湿度の高い時や海中のほうが音速が大きいので、
音は届き易いのです。ちなみに電車なども鉄の媒質は音速が大きいので遠く
に届き易いのです。
 

 

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